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テーマ型調査
「みらリポ2017」

プロジェクト編06
教師は、「ツアーガイド」から 「伴走者」へ。

静岡市立大里中学校 校長
元静岡市立清水江尻小学校 校長 山下由修先生
2017/08/23 カテゴリ:
プロジェクト編

INTERVIEW

「水野先生は今回の活動で本当に変わった。今年日本で最も変わった教師のひとりでしょう。本人に聞いたら、道がつながって見えてくるらしいんです。授業のことを考えていても、子どもの姿が次々に出てきてすごく楽しいんだ、って言う。そんな変化は、教師を30年も50年もやっていても、なかなかあるものじゃない。

生活科総合の時間のこの"探究的な学び"は、実はずっと昔からある概念だけれど、本物の探究的な学びというのは、簡単には構成できない。どうしても"教える"教師像から抜け出せない。教師主導からの授業から脱皮できないわけです。

やましたよしのぶ/静岡市立大里中学校校長 元静岡市立清水江尻小学校校長。静岡県では初めてとなるコミュニティ・スクールづくりに着手してから4年。ようやくすべてが変わり出した印象だという。コミュニティ・スクールとして、教育課程を地域の人に理解してもらいたいという思いのもと、その仕組みづくりにも取り組んでいる。

例えて言うと、いままでは教師が旗を持って子どもたちを先導する、"教師主導"の言わば"日本型ガイドツアー"をしていた。それはそれでコンパクトだし意味があるけれど、だいたい、終わってみたら何も覚えてないでしょう。そんな"日本型ガイドツアー"が、未だに色濃くこの国のノスタルジックな教育の形として残っているけれど、残念ながらそれは、子どもたちの生きる力や彼ら自身を支える力としては成果を出していない。それに比べて、大したものでなくても、自分で初めて計画した旅行って、自分にとっては抜群に価値のあるものとして残っている。これが今回の取り組み。今回の活動では"教師主導"から"学習者主導"に転換している。そこでは、教師は子どもたちの"伴走者"にチェンジしなきゃいけない。

だから水野先生は、途中で企画が(予想していた)ハゼ釣り大会ではなく、そうじ大会になって、自分主導では意味を成さないと思い知ったときに、"学習者主導"に転換して伴走し出した。そこで子どもたちとの距離も変わった。それは大きな一歩だったと思いますよ。彼は一皮も二皮も剥けた。

一度つかむことができたから、そこからは砂漠に水が浸み込むように、周囲に教えてもらうこと、自分がやること、すべてが腑に落ちてどんどん成長していくでしょうね。実際水野先生の言葉には力が出てきたし、目に力があって、視線もぶれなくなってきた。相当自信がついてきたんだと思います。

清水江尻小がコミュニティ・スクールを謳い出して最初に動き出したのは地域です。そこからやっと、学校・地域・保護者の3者の連携が2015年ごろから取れはじめて、保守的だった学校もこんな風に変わり出した。水野先生だけじゃなくて、他の教師もみんな変わってきたんです。『大学院に行かせてください』や『コミュニティの勉強をさせてください』といった声が挙がり出した。子ども像や学校像が、客観的に明確に見えてきたんだと思います。一度変化し出したら、教師の資質向上は早いですよ。水野先生のような教師がもっと増えて欲しいと思うし、学校や地域との関係も、これからどんどん変わっていくと、期待しています」

共同研究プロジェクトの最初の授業で。「ハゼ釣り」が楽しめるほど、生き物が豊かに暮らしているという巴川の一面について、山下校長自らが子どもたちにレクチャーする。

「学校・地域・保護者の3者が、これまでよりも0.5だけ多く、子どものためにエネルギーを提供してくれたら、その3つの掛け合わせによって、子どもの成長や変化は飛躍的なものになる」と語る山下校長。そんな校長は、毎朝、江尻地域を回る散歩を欠かしません。そこで地元の人々との交流を積み重ねることが、お互いの理解につながり、ひいては子どもたちのためになる。校長自らが地域との交流を積極的に実践することで、その姿勢を地域や保護者にも伝えています。このような明確なビジョンを持ち、強いリーダーシップで地域とともに歩む「校長先生」の役割もまた、学校と地域のこれからのあり方を左右する重要なファクターのひとつではないでしょうか。 (2016年12月2日取材)

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