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テーマ型調査
「みらリポ2017」

アンケート篇08
連載第6回「小学校と地域が関わりながら学ぶことの効果」

2017/11/13 カテゴリ:
アンケート編

前回および前々回の連載では、それぞれ「小学校と地域の関わり」「子どもと地域の普段の関わり」の概況をお伝えしました。本稿では、小学校と地域が関わりながら学ぶことが、子どもたちの能力や普段の地域との関わりにどのような影響をもたらすのかについて、より深く考察を行います。

分析の視点

「小学校と地域が関わりながら学ぶことの効果」を調べるために、「小学校と地域の関わりの頻度」(参照:「小学校と地域の関わり」)に関する質問への回答をもとに、「関わり高頻度」群(「関わりあり」のうち、「ほぼ毎月」+「数ヶ月に1回くらい」/小学5・6年生全体の17.7%)と「関わりなし」群(小学5・6年生全体の60.1%)を比較しました。

<子ども調査>
Q.近くに住んでいる大人といっしょに授業や活動をするような機会はどれくらいありますか? いちばん近いものにひとつだけ○をつけてください。
図1

「ことばの力」「ともに生きる力」への影響

まずは、「ことばの力」への影響を見ていきます。「関わり高頻度」群は、「関わりなし」群と比べて、「自分なりの意見を持つ(高頻度53.2%/なし42.2%)」「自分が正しいと思えば、周りと意見が違っても自分の意見を変えない(高頻度38.3%/なし27.9%)」「普段から分からないことを調べる(高頻度29.1%/なし23.9%)」などの自分なりの意見を持つ力と、「他の人に起こったことでも自分まで嬉しくなったり悲しくなったりする(高頻度59.6%/なし45.9%)」の他者への共感力が高いという結果でした。

<子ども調査>
Q.ふだんのあなたの行動や考え方に、あてはまると思うものすべてに○をつけてください。(○はいくつでも)
図2

続いて「ともに生きる力」への影響を見ていきます。「自己肯定感」については、「関わり高頻度」群は、「今の自分が好きだと思う(高頻度34.8%/なし31.2%)」を除く全ての項目で、「関わりなし」群よりも6~10ポイントスコアが高いという結果でした。「他者への理解・尊重」については、「いろいろなタイプの人と友だちになれる(高頻度56.0%/なし46.2%)」「意見が合わない人とも話し合って答えを見つけられる(高頻度42.6%/なし30.1%)」の多様性を受容する力、「一人では難しいことも力を合わせればできる(高頻度63.1%/なし56.8%)」の他者と協力する力が高いという結果でした。

<子ども調査>
Q.ふだんのあなたの行動や考え方に、あてはまると思うものすべてに○をつけてください。(○はいくつでも)
図3

本アンケートでは、現在の「小学校と地域の関わり」は、「地域の大人が学校で授業や話をしてくれる(51.4%)」「地域の大人と学校で一緒に活動(運動、工作、楽器、料理など)をする(49.8%)」など、地域の大人と関わる活動が多いという結果が得られています。学校と地域が関わる頻度が高い子どもたちが、「ことばの力」のうち、自分なりの意見を持つ力と他者への共感力、「ともに生きる力」のうち、多様性を受容する力と他者と協力する力が高いというのは、学校の枠を越えた幅広い人とやり取りをすることで、人と関わる力が向上したり、考えの多様性に触れることを通じて自分独自の意見を持つことも認められるようになったりするという効果の表れかもしれません。

普段の地域との関わりへの影響

ここでは、学校の外での生活や考えへの影響を見ていきます。まず、普段の地域との関わり方については、「近所の大人の顔を知っている(高頻度92.2%/なし86.9%)」「近所の大人に挨拶をする(高頻度94.3%/なし85.4%)」などもともとスコアの高い一般的な付き合いはもちろんのこと、特に、「近所の大人の名前を知っている(高頻度54.6%/なし42.2%)」「近所の大人と話しをする(高頻度54.6%/なし34.3%)」といった、より深い付き合いに関する項目で10~20ポイントスコアが高いという結果でした。「地域行事への参加(高頻度84.4%/なし64.7%)」についても、約20ポイントの開きが出ていました。

<子ども調査>
Q.あなたの住んでいるまちや、そのまわりの人についてお聞きします。あてはまるものに、それぞれひとつだけ○をつけてください。 (あてはまる/ややあてはまる/あまりあてはまらない/あてはまらない)
図4

「地域への好意度」については、もともと子どもたちは、居住地が都市部か地方かによらず、自分が住んでいる地域への好意度が高いというアンケート結果でしたが(参照:「子どもと地域の普段の関わり」)、その中でも「関わり高頻度」群は、「好き(高頻度73.0%/なし65.7%)」と明確に答える割合が高くなっています。

<子ども調査>
Q.あなたは、今、住んでいるまちが好きですか?あてはまるものにひとつだけ○をつけてください。
図5

「地域への居住継続意向」については、「関わり高頻度」群は、「住みたい」と「やや住みたい」を合わせた「住みたい計(高頻度81.6%/なし75.6%)」が高く、特に「住みたい(高頻度45.4%/なし35.3%)」と明確に答える割合が高くなるという結果でした。

<子ども調査>
Q.今住んでいるまちやその近くに、大人になってからもずっと住みたいと思いますか?あてはまるものにひとつだけ○をつけてください。
図6

保護者への影響

普段の地域との関わりについては、保護者調査でも興味深い結果が得られています。

※保護者調査では、小学校と地域との関わりの実態でなく、「子どもが通う小学校がコミュニティ・スクールかどうか」を直接聴取しています。

<保護者調査>
Q.あなたの、ご自分が住んでいる地域との関わりについてうかがいます。あてはまるものに、それぞれひとつだけ○をつけてください。 (あてはまる/ややあてはまる/あまりあてはまらない/あてはまらない)
図7

保護者の間では、子ども以上に、子どもの通う小学校が地域と関わりのある学校かどうか(コミュニティ・スクール指定されているかどうか)で、普段の地域との関わりの量に差が見られました。図7のように、全ての項目で、コミュニティ・スクールに指定されている小学校の子どもの親の方が、10~15ポイントスコアが高いという結果でした。

<保護者調査>
Q.あなたは、ご自分が住んでいる地域のことがお好きですか。最も近いものをひとつお選びください。
図8

「地域への好意度」については、子どもの通っている小学校がコミュニティ・スクールに指定されている保護者は、「好き」と「やや好き」を合わせた「好き計(指定あり91.0%/なし84.4%)」が高く、特に「好き(指定あり34.2%/なし24.6%)」と明確に答える割合が高くなるという結果でした。

<保護者調査>
Q.あなたは、これからもずっと現在お住まいの地域に住み続けたいと思われますか。最も近いものをひとつお選びください。
図9

「地域への居住継続意向」については、子どもの通っている小学校がコミュニティ・スクールに指定されている保護者は、「住みたい」と「やや住みたい」を合わせた「住みたい計(指定あり86.5%/なし81.7%)」が高く、特に「住みたい(指定あり35.1%/なし29.5%)」と明確に答える割合が高くなるという結果でした。 これらの、小学校と地域が関わる量が多いことと、子どもと保護者の普段の地域との関わりの量や地域への愛着との関係は、純粋に小学校と地域との関わりの効果なのか、それとももともとの地域特性ゆえに小学校と地域との関わりも活発なのか、検証が必要です。しかし、小学校と地域の関わりが多い地域では、地域内の住民の交流が活発で、住民の地域への愛着が高い傾向があるということは言えそうです。

教員への影響

最後に、「小学校と地域が関わりながら学ぶことの効果」に関する、教員調査の結果をご紹介します。 ※教員調査では、小学校と地域との関わりの実態でなく、「勤めている小学校がコミュニティ・スクールかどうか」を直接聴取しています。

<教員調査>
Q.あなたの意識・行動に最も近いものをそれぞれお選びください。(あてはまる/ややあてはまる/あまりあてはまらない/あてはまらない)
図10

教員については、普段の教職に対するモチベーションを、仕事への好意度・満足度・向上心など様々な角度から聴取しました。その結果を、コミュニティ・スクールに指定されている学校の教員とそうでない学校の教員で比較すると、全体で上位の「クラスの児童が好き(指定あり64.0%/なし47.8%)」「教員の仕事が好き(指定あり54.0%/なし42.0%)」「教員の仕事にやりがいを感じる(指定あり58.0%/なし40.8%)」を筆頭に、全項目の中でスコアが低い「日頃から他の先生の授業を見学して学ぶ(指定あり30.0%/なし13.4%)」「日頃から校内外の研究会に参加する(指定あり28.0%/なし12.7%)」といった主体的なスキルアップに関連する行動まで、ほとんど全ての項目で、コミュニティ・スクールの教員の方が10~15ポイントスコアが高いという結果でした。

ここまで見てきたいずれの結果も、小学校と地域が関わりながら学ぶことの影響が大きいのか、それとももともと意欲の高い小学校が地域と関わりながら学ぶことにも積極的なのか、繋がりの密な地域特性がベースにあって小学校との関わりも活発なのか、因果関係の検証は必要です。 しかし、「小学校と地域とが多く関わりながら学ぶ地域」では、

  • 子どもたちの「ことばの力」(特に、自分なりの意見を持つ力・他者への共感力)や「ともに生きる力」(特に、多様性を受容する力・他者と協力する力)」が高い
  • 地域住民同士の交流が活発で地域への愛着が高い
  • 教員のモチベーションが高い

といった、様々な良い循環が生まれているのは確かなようです。

次回は、インターネットやスマートフォンを含む、子どものメディア接触についてご報告します。

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