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テーマ型調査
「みらリポ2017」

アンケート篇06
連載第4回「小学校と地域の関わりについて」

2017/10/19 カテゴリ:
アンケート編

学校と地域がパートナーとして連携・協働し、地域の声を活かした特色ある学校づくりを行う「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」の導入が進んでいます。平成29年には「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の一部が改正され、全ての公立学校がコミュニティ・スクールになることが努力義務化されました。平成29年4月時点では、全国の公立小・中学校の11.7%にあたる3,398校(うち、小学校2,300校)でコミュニティ・スクールが導入されています。 [参照:文部科学省「コミュニティ・スクールパンフレット2017」]

本稿では、コミュニティ・スクールに期待される実践のひとつである「小学校と地域が関わる学び」の現状を、主に子どもたちがどのように捉え・感じているかという視点から分析した結果をご紹介します。

小学校と地域の関わりの現状

今回アンケート調査を実施した東京・大阪・青森・高知の小学5・6年生800名のみの状況となりますが、「学校で、近くに住んでいる大人と一緒に授業や活動をすることがある」と認識している子どもは全体の39.9%で、頻度は平均すると年に3.2回(うち、ほぼ毎月=8.2%、数ヶ月に1回くらい=36.1%、半年に1回くらい25.7%、年に1回くらい25.1%)でした。

<子ども調査>
Q.あなたの学校では、近くに住んでいる大人といっしょに授業や活動をすることがありますか?
図1
<子ども調査>
Q.近くに住んでいる大人といっしょに授業や活動をするような機会はどれくらいありますか? いちばん近いものにひとつだけ○をつけてください。
※小学校と地域の関わりがある人のみ回答
図2

活動の内容は「地域の大人が学校で授業や話をしてくれる(51.4%)」「地域の大人と学校で一緒に活動(運動、工作、楽器、料理など)をする(49.8%)」がそれぞれ約半数で最も多く、「学校の行事で地域の施設(博物館、工場、老人ホームなど)に行き、そこにいる大人と活動をする(31.0%)」「地域の大人が学校で芸(伝統芸能、芝居など)を見せてくれる(22.6%)」「学校の行事で地域の大人と一緒に校外に出かける(20.4%)」「地域の大人から地域の仕事について学ぶ(19.4%)」がそれぞれ約2~3割でした。

<子ども調査>
Q.近くに住んでいる大人といっしょに、どのようなことをしますか? あてはまるものすべてに○をつけてください。(○はいくつでも)
※小学校と地域の関わりがある人のみ回答
図3

小学校と地域の関わりの効果

子どもたちは、小学校と地域の関わりからどのような影響を受けているのでしょうか?

<子ども調査>
Q.近くに住む大人と一緒に授業や活動をすると、あなたはどのように感じますか? あてはまるものすべてに○をつけてください。(○はいくつでも)
※小学校と地域の関わりがある人のみ回答
図4

アンケートの回答で最も高く挙がったのは「地域のことがよく分かるようになった(51.1%)」で、過半数が地域への理解が深まったと感じていました。次に多く挙がるのが「地域の行事(お祭りなど)に行くことが多くなった(47.0%)」「地域の大人とよくあいさつをするようになった(43.6%)」で、約45%前後が普段の地域との関わりが増えたと感じていました。少しスコアが落ちますが「地域のことが好きになった(33.5%)」「大人になっても地域で暮らしたいと思うようになった(24.5%)」が続き、一定数の子どもたちは地域への愛着が高まったと感じていることも分かりました。

小学校と地域の関わりがあると認識している子どもたちの間でも、その頻度は年平均3.2回とそれほど活動量が多い訳ではないようでしたが、小学校と地域が関わることは、子どもたちの地域理解や普段の地域との関わり、地域への愛着を高めることに一定の効果をもたらしていることが分かりました。

子ども・教員比較

アンケートに回答した子どもたちと所属する小学校は異なりますが、同じ選択肢の質問を「小学校と地域が関わることで、子どもたちにどのような効果が現れていると感じるか」という形で全国の教員にも投げかけています。

<子ども調査>
Q.近くに住む大人と一緒に授業や活動をすると、あなたはどのように感じますか? あてはまるものすべてに○をつけてください。(○はいくつでも)
<教員調査>
Q.近隣に住んでいる大人(保護者以外も含む)と一緒に授業や活動を行うことによって、あなたが受け持っているクラスの児童たちに、現在どのような効果が表れていると思われますか。あてはまるものをいくつでもお選びください。
※いずれも、小学校と地域の関わりがある人のみ回答
図5

小学校と保護者の関わりの現状

最後に、ご参考までに、小学校にとって最も近い地域の大人である保護者の、小学校との関わりの現状をご紹介します。こちらのアンケートは、子ども調査の対象エリアと近い東京・大阪・東北・四国で実施したものです(※対象者は、子ども調査に回答した子どもの保護者とは異なります)。

<保護者調査>
Q.お子さまが通っている小学校と、これまでどのように関わられたことがありますか。あてはまるもをすべてお選びください。
図6

保護者と小学校との関わりの中で、特に経験率が高かったのは「学校行事の見学(84.9%)」「授業参観(81.2%)」で、いずれも8割を超えていました。次いで半数近くが経験していたのは、「PTA活動への参加(50.7%)」「学級懇談会(49.5%)」「家庭訪問(49.2%)」でした。「PTA役員(32.9%)」「イベント運営(18.1%)」「コミュニティ・スクール(学校運営協議会)の委員(1.7%)」など、より積極的な関与が必要となる活動は経験率が下がる傾向がみられました。

ただしこの結果は、母親と父親で分けて分析をしてみると、様相は大きく異なりました。まず、母親の経験率は、「学校行事の見学(母親94.2%/全体84.9%)」「授業参観(母親92.8%/全体81.2%)」「PTA活動への参加(母親74.9%/全体50.7%)」「学級懇談会(母親80.0%/全体49.5%)」「家庭訪問(母親70.8%/全体49.2%)」「PTA役員(母親55.8%/全体32.9%)」「イベント運営(母親26.3%/全体18.1%)」と、ほとんどの活動で7割を超え、PTA役員でも過半数でした。

対して父親は、「学校行事の見学(父親75.7%/母親94.2%)」「授業参観(父親69.7%/母親92.8%)」については約7割以上の経験率ですが、「家庭訪問(父親27.6%/母親70.8%)」「PTA活動への参加(父親26.7%/母親74.9%)」「学級懇談会(父親19.2%/母親80.0%)」「PTA役員(父親10.1%/母親55.8%)」「イベント運営(父親9.9%/母親26.3%)」と、その他の活動は3割にも満たないという結果でした。現状では、保護者と小学校との関わりの大部分は、母親が担っていると言えそうです。

ここまでの結果を踏まえると、コミュニティ・スクールの導入を進めることは、子どもと地域の結びつきに対して多面的な効果が期待される反面、そこに関わることのできる地域の大人の「多様性」の確保が、運営とより良い効果を得ることの両面から課題となってくるのかもしれません。

次回は「子どもと地域との関わり」についてリポートします。子どもたちの、学校の外での普段の地域との関わりや考えについて、アンケートの結果をもとに分析します。

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