メニューボタン
  1. HOME
  2. 研究テーマ一覧
  3. テーマ型調査「みらリポ2017」
  4. アンケート篇02 連載第1回「ことばの力」
テーマ型調査
「みらリポ2017」

アンケート篇02
連載第1回「ことばの力」

2017/07/20 カテゴリ:
アンケート編
博報財団こども研究所では、2016年のテーマ「地域を動かす、子どものパワー!」の下、
東京・大阪・青森・高知の小学5~6年生800名
東京・大阪・東北地方・四国地方の小学5~6年生の保護者830名
47都道府県の小学校教員(担任もしくは副担任)207名
を対象に、アンケート調査を実施しました。

調査概要はこちら

前回のダイジェストに続いて、今回から10回連載で、「こどもと地域調査」の詳細結果をご紹介します。
各種のデータからは、小学5~6年生のどのような実態がみられるでしょうか?
また、子ども、保護者、教員の三者間でみたときの回答の違いについても、注目してみていきたいと思います。

「ことばが世界をつくる」とよくいわれます。複雑で不確実な時代の中にあって、子どもたちが、自分自身の可能性を広げ、他者との協調を生みだしていく上で、「ことば」の力の重要性は、今後ますます高まるものと思われます。

博報財団こども研究所の母体である博報財団は、未来を担う子どもたちにとって重要な力として、「ことばの力」と「ともに生きる力」を育成することへの貢献を、ビジョンとして掲げています。今回は、そのうちの「ことばの力」について、詳しくご報告します。

まずはじめに、こども研究所では、「ことばの力」を「感じる力」「考える力」「表現する力」の3つの力に分解して、下記のように定義しました。

「ことばの力」
     
  • 「感じる力」: 豊かな感受性と発想力/他者の気持ちを想像し共感する力
  •  
  • 「考える力」: 自分の思考を深める力/自ら主体的に考え、行動する力
  •  
  • 「表現する力」: 自分の考えを伝える力/自分らしく豊かに表現する力

そして、この3つの力を図る指標として、全部で16の設問からアンケートを行いました。果たして、今の小学5~6年生の「ことばの力」はどうなっているのでしょうか?

保護者や教員が思う以上に、子どもの「考える力」は高い

「ことばの力」を構成する「感じる力」「考える力」「表現する力」のそれぞれを具体的な内容に落とし込んだ項目が、子どもたちにあてはまるかどうかの評価を子ども・保護者・教員の3者で比較したところ、「大人が言うことでも本当に正しいか考えてみる」「新しいことをやるときは自分なりに考えて行動する」といった「考える力」は、大人が認識している以上に子どもたちの自己評価が高いことが分かりました。

<子ども調査>
Q. ふだんのあなたの行動や考え方に、あてはまると思うものすべてに○をつけてください。(○はいくつでも)
図1

感じる力

豊かな感受性と発想力/他者の気持ちを想像し共感する力

豊かな感受性と発想力を図る指標として、ニュース等の情報感度/絵や工作、音楽、読書・作文等への好意度/自由なアイデア発想度を、また他者の気持ちを想像し共感する力を図る指標として、相手の気持ちを感じる力など、計7つの設問についてお聞きしました。

特徴的な結果をみると、子どもの60~70%は「絵や工作、音楽が好き」としており、特に女子は男子に比べ1.4倍~1.7倍も好きな人がいることが分かります。しかし、こうしたアート領域への興味が伺える一方で、「読書や作文が好き」な子どもの割合は34.8%に留まります。これは「音楽が好き」な子どもの割合66.3%と比べると、約半分の水準です。

絵や音楽、工作に比べ、文章の読み書きへの好意度が低いのはなぜでしょうか?また、「文章の読み書き」へ好意度の違いが、子どもの考える力、表現する力にどのような影響を与えているでしょうか? ここは、今後、さらに探求していきたいポイントといえます。

考える力

自分の思考を深める力/自ら主体的に考え、行動する力

続いては、「考える力」についてです。「自分の頭で考え、自ら主体的に行動する力」は、今、社会人においても求められている資質といえますが、今の子どもの実態ははたしてどうでしょうか? ここでは、「考える力」として、自分の思考を深める力と、自ら主体的に考え、行動する力の視点から、計5つの設問についてお聞きしました。

結果をみると、「物事に対して自分なりの意見を持つ」は44.1%、「新しいことをするときは自分で主体的に考えて動く」が41.0%となっており、自分の頭で考え、自ら行動する子どもは概ね4割となっています。この「考える力」については、「感じる力」ほど、性差がなく、男女ともほぼ同じ水準であることもみてとれます。

興味深いのは「大人の言うことでも本当に正しいかまずは考えてみる」子どもが、46.6%と約半数存在することです。大人の言うことは何でも信じるのではなく、子どもたちの半数は、自分の視点にたち、ある種、批判的思考(クリティカル・シンキング)をしていると、いえるかもしれません。主体的に行動する力に関して、「新しいことをするときは自分で主体的に考えて動く」子どもは前述の通り41.0%いますが、逆に「周りの人についていく」子どもも33.3%と3人に1人は存在します。

表現する力

自分の考えを伝える力/自分らしく豊かに表現する力

ことばの力の3つ目は、「表現する力」についてです。子どもたちは、感じたこと、考えたことをどのくらい表現出来ているのでしょうか?

「物事に対して自分の意見を持つ」が44.0%であるのに対して、「自分の意見や考えを周りにはっきり伝えている」子どもは32.8%と10pt以上下がります。 特に、女子は「みんなと意見が違うときは、周りの意見にあわせる」が49.8%と高く、仮に自分の考えをしっかり持っていても、それをそのまま、相手に伝えられていない子どもが多いことが推察されます。さらには、「相手に伝わるように、話し方に工夫をしている」子どもは30.3%に留まり、感じる力、考える力に比べて、「相手に分かるように表現する」というプレゼンテーション意識はまだ弱いことが伺えます。

「思っているだけでは、何も始まらない」ということを考えると、「感じる力」「考える力」に加え、それをしっかり相手に伝えていく「表現する力」を高めていくことも、今後の重要な視点ではないかと思います。

子ども、保護者、教員の「ことばの力」への回答の違い

以上の「感じる力」「考える力」「表現する力」について、同じ質問を子ども、保護者、教員に伺い、比較したものが図2です。

<子ども調査>
Q. ふだんのあなたの行動や考え方に、あてはまると思うものすべてに○をつけてください。
<保護者調査>
Q. 以下の項目について、現在のお子さまにあてはまると思うものを全てお答えください。
<教員調査>
Q. 以下の項目について、あなたが受け持っているクラスの児童たちの全体的な傾向としてあてはまるものを全てお答えください。
図2

この三者間で、最もギャップのあるのが「考える力」への認識です。特に、「大人が言うことも正しいか考えてみる」「新しいことをするときは自分で考えて行動する」といった子どもの主体性への捉え方は、子どもと保護者、教員間で大きな開きがあります。

例えば、「大人が言うことも正しいか考えてみる」子どもは46.6%であるのに対して、保護者は17.8%、教員は8.2%となっています。保護者や教員といった大人が考えている以上に、子どもたちははるかに自分の頭で考えており、行動一つとっても、いろいろと考えて動いている可能性があります。また「ふだん気になることや分からないことがあると、分かるまでしっかり調べる」という点は、ここは三者共通でスコアが低く、知的好奇心、探究心の向上も今後の課題といえそうです。

ちなみに、そうした「分からないことがあったときに、どうするか?」という設問には、男女とも約6割の子どもが「母親に聞く」としています。続いて、「自分で本やネットを使って調べる」という子どもも17.5%存在します。今の子どもたちの分からないことを知るための解決法は、母親か、自分で資料を調べるかの二択である様子が見て取れます。

<子ども調査>
Q. ふだんの生活の中で分からないことがあった時に、あなたは、まずどうしますか? あてはまるものにひとつだけ○をつけてください。
図3

保護者・教員が、子どもに「高めて欲しいことばの力」とは?

最後に、これまでみてきた「ことばの力」に関して、保護者や教員が、今後、それぞれどんな要素を子どもに高めて欲しいと思っているのか、比較してみましょう。

図4の通り、保護者、教員に共通して高い項目は「友だちの立場で考える」「自分なりの意見を持つ」「自分の意見を分かりやすく、かつ周りにはっきり伝える」という三点です。

「友だちの立場で考える」に関しては、実に教員の46.9%、保護者の34.0%が今後高めるべきトップ項目にあげています。自分の意見を持ち、しっかり伝えるという個人の主体性も大切だが、今、家庭や学校の現場で大人が一番求めているのは、「友だちなど相手の気持ちを思う力」であるとの認識が浮かび上がってきます。

<保護者調査>
Q. 今後お子さまに高めてほしいと思うものを3つまでお選びください。
<教員調査>
Q. あなたが受け持っているクラスの児童たちに今後高めてほしいと思うものを3つまでお選びください。
図4

連載の第1回目は、「ことばの力」について、感じる力、考える力、表現する力の3つの視点から子どもの実態をみてきました。

子どもたちのありのままの姿を、大人が分かりあっていくには、子どもたちの感じること、考えることをいかに表現してもらえるか、にもかかっているように思います。表現されない部分をどのようにみていけるのか。今後の研究テーマにしていきたいと思います。

次回は、「ともに生きる力」についてリポートします。個人の主体性とともに、相手への共感力、共生力をどのように高めていけるのかを、多面的に探求していきたいと思います。

PAGE TOP